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「結論から言うと、3人ともクロです」

「結論、ね」

刑事は胡散臭そうに幸を見下ろした。

研究所で3人分のスキャンを終わらせた幸を待っていたのは警察だ。その場で浅井の記憶【消去】を命じられ、済むや否や車に詰め込まれ、あっという間に捜査本部である。

「・・・と言っても俺の証言に法的な効力はありません。あ、これは【施術記録】です」

おそらく理解する気のない刑事は、幸がレコーダーから抜き出したカードを受け取ると慣れた手つきで簡単なメモを貼り付けた。

「それはあくまで俺の施術に対する証拠です。で、こっから先が捜査上の証言なので録音するならお願いします」

刑事は片方の眉を吊り上げると、黙って録音を始める。
おそらく、自分とは異なる世界の人間、【特殊能力者】と会話するのが面倒なのだろう。

「3名はそれぞれタカダ薬品中央研究所で自らが行った研究内容を持ち出し、複製して国外に持ち出しています。複製データは全てウェブ上に保存されており、それ以外の媒体は一切使っていませんでした。よって証拠はネット上にのみ存在します。アクセスの方法は、まず三田浩次から・・・彼の自宅のPCにパスワード保護された隠しファイルがあり、そこに暗号化されたアドレスが記載されています。ファイルのパスワードは6638171、ウェブのアクセスコードはtakatora。岸田は端末自体を隠しています。西宮の4D-roomというトランクルーム、ルームナンバーは22。無用心にもデスクトップ上にショートカットがあります。アクセスはIDが大文字の231Y0022B、パスワードはcream。最後、石川は」

幸はそこでいったん言葉を切り、薄いお茶を飲んだ。
薄すぎて何の種類だかわからない。

ここでは茶の味すら非日常的だ。


「・・・石川は、モバイル端末でダイレクトアクセス、パスワードは5291、以上」

「おい!web班呼んで来い!」

刑事がドアの外に向かって叫んだ。

「余計なお世話だと思いますが、証拠は既に消されている可能性があります」

「わかってる!」

「もしそうなっていたときには、俺の証言を疑うより前にまず証拠を含むwebページを復元する努力をしてくださいという意味です」

刑事の目つきがどんどん剣呑になってゆくが、幸はいちいちそんなことを気にしてはいられない。



「・・・情報はすぐにどこかへ消えていくものですが、俺は未来永劫、どこへも逃げられませんから」





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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学


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