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石見は丁寧に診断書をたたむと、少し考えてから幸に尋ねた。

「・・・あなたは私の頭の中が見えるんですか?」

「よく聞かれます」

幸が【消す】相手が一番気にするのがそのことだ。無理もない。
見もしないものを【消せる】とは誰も思わないだろう。

「僕が見るのは、記憶の【タイトル】とその【タグ】だけです。あなたの脳には沢山の記憶が詰まっている。全部を流し見て【消す】部分を探すとしたら、2倍速でサーチしても5年以上かかるでしょう。そんなことは出来ないし、僕の頭がおかしくなります」

石見は幸の顔を注意深く見ながら、うなずいた。

「あなたは『青』と聞いて何を思い浮かべますか?最初に」

幸は唐突にそう尋ねた。

「え?アオ?色ですか?」

「そうです、まず『色』ですね。他には?」

「・・・『海』」

「いいですね、もう1つ」

「・・・サッカーの、日本代表のユニフォーム」

「それは最高だな」

幸は思いもよらない答えに笑った。そういえば昨日は国際試合があった。

石見も少し表情が緩む。

「あなたは『アオ』という言葉に3つのものを連想した。記憶から引っ張り出してきたんですね。何でこの3つを選んだかわかりますか?」

「適当に・・・本当にパッと思いついて・・・」

「そう。理由は『出しやすかった』からです。カバンを開けて、最初に見えたものを取り出すように」

「なんで・・・」

「この場合、僕が言った『青』という言葉が【タグ】なんです。あなたの脳は、『青』という【タグ】のつけられた沢山の物や体験から、一番強烈で身近だったものを3つ選び出した。僕が急かしたからです。『じっくり、面白い答えを考えてください』と言ったらまた違うものを選んだでしょう。そういう意味で今回は【すぐに】というタグも有効になったんです。【青】【すぐに】この2つの命令にあなたはさっきの3つを返した」

「なんとなく・・・わかったような・・・?」

「実感がないことはなかなか飲み込めなくて当たり前です」

幸が記憶を【見る】感覚を、石見に伝えるのは至難の技だ。
目の見えない人に絵画を説明するくらいに。







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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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